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食文化!スローフード取り組み宣言。
タオヤギソウに夢を

タオヤギゾウこれって、なに?

左の写真がなんだかお分かりになりますか?
これは 「タオヤギソウ」といいます。(私たちの地域ではタオヤギソウの事を通称オオバフノリと呼んでいます。)

【タオヤギソウ】
マサゴシバリマサゴシバリ科タオヤギソウ
北海道から九州までの極沿岸の岩場などに着生などにし、春先から夏場にかけて急激に成長する。
詳しい生態は分からない部分が多い。
特徴は、体内に粘り気の多い液体が大量に含まれていること。
ヨーロッパでは同じ 紅藻類 のダルスが海藻サラダにも用いられている。

タオヤギソウ養殖までの道

 近年、消費者の健康志向により海藻が見直されてきている傾向にあります。
身近でもメカブの需要が増加したり、邪魔者でしかなかったアカモクがを浴びており、
私たちは、地域の海藻を活用し「他ではやっていない事」を何かできないかと千尋会会員間で話していました。

タオヤギゾウ(オオバフノリ)出荷風景そんな折、階上地区の極限られた地域では、
養殖施設に着生したオオバフノリを大事に持ち帰り食べているとの話を聞きき、
このオオバフノリに向き合ってみることにしました。

「オオバフノリ」とは高さ30センチメートル、茎の太さ5ミリメートル程の紅藻類で、
これまでの私たちの認識は養殖中のカキやホタテ、
アンカーロープに着生する「単なる付着物」でしかありませんでした。

このオオバフノリは本当にうまいのか、まずは食べてみることから始めました。

 養殖施設にしているオオバフノリをし湯通ししたところ、
それまで薄紅色であった葉体(ヨウタイ)が鮮やかな緑色に変色しました。
やや粘り気があり、見た目はモズクにメカブのネバネバを足した感じです。

 味の方は酢醤油やぽん酢で食べると大変おいしく、 階上発の新たな食材としての可能性を感じました。

 試食の評価は好評でしたが、「オオバフノリ」の正式な名称やまったく分からない状態であったため、
宮城県気仙沼水産試験場を訪ね検索してもらい 「タオヤギソウ」であることが判明しました。

タオヤギソウの資源量って?

 タオヤギソウを食材として普及を進める事を前提に、現在階上地区にどれほどの資源量があるのか調査を実施しました。

 湾内を潜水により調査した結果、岩礁域や養殖施設に若干着生しているだけで、資源を持続的に利用するには限界があり、
安定的に収穫し商品化するためには養殖にらなければならないことが分かりました。

また、潮通しの良い航路筋や水深の深い漁場では、着生していても生育に差があるよう感じられ、
養殖に際しては、適切な漁場の選定が必要であると感じられました。

実際の取り組み

タオヤギソウ平成15年より養殖への取り組みを開始しました。始めに人工採苗試験に取り組むこととしましたが、
時期を同じく宮城県気仙沼水産試験場でも新規養殖対象種として、
平成14年度からタオヤギソウの種苗生産や中間育成の技術を開発する取り組みを開始しており、
施設面や技術的な指導に全面的な協力を受けることができました。

 8月初旬に地先海域で母藻を採取し、室内採苗試験及び野外採苗試験を実施しました。

「室内採苗試験」

水産試験場に依頼し成熟状態を確認した上で、水槽内に母藻と着生基質を入れ経過を観察しました。
着生基質にはカキやホタテの貝殻及びアンカーロープを使用したところ、
あく抜きをしなかったためかアンカーロープにはほとんど着生しませんでしたが、カキ殻やホタテ殻には着生を確認することができました。

 その後もタンク内で育苗を続け、採苗から2ヶ月後には1ミリメートル前後まで生育した幼体が肉眼で確認することができ、10月下旬には大きいもので約5ミリメートルまで生育していたため沖出しを行うことができました。

「野外採苗試験」

土俵袋内に成熟した母藻とカキ殻等の着生基質を入れ垂下し着生を確認することができました。
9月に確認したところ生育の状態は室内採苗より、安定していましたが、
10月にはアカクサ等の海藻に覆われてしまい消失し垂下中の管理面での課題が残りました。

採苗後の管理技術向上

平成16年度は、採苗後の管理技術向上に主眼を置き養殖試験を実施しました。

昨年同様の方法で野外及び水産試験場のタンク内で採苗した種苗と養殖中のカキ殻に着生したタオヤギソウを試験筏へ垂下し経過を観察しました。

試験筏は長さ30メートルのシングル式で、50センチメートル間隔で挟み込んだタオヤギソウを約30本垂下しました。

結果

 沖だし時には、3ミリメートル程度であったものが、2月には約15センチメートル。
収穫時の6月には約30センチメートルまで成長し72kgのタオヤギソウを収穫することができました。
72kgという数値は産業的観点から見れば、まだまだ、小さいものですが、平成15年の収穫量が18kgであった事を考えると、
私たちにとっては大きな進歩であり、今後の活動への自信につながりました。

 また、前年に課題であった野外で採苗した種苗についても、早期に挟み込みすることによって、雑海藻にまかれ消失することはありませんでした。

この二カ年間の取り組みから

  1. 栄養塩量に影響されるためか、漁場や垂下水深によって、成長や色調に差が生じる。
  2. タオヤギソウの茎は非常に柔らかく衝撃等により脱落しやすい。
  3. 野外採苗よりタンク採苗種苗の方が芽付きは濃く安定しているが生育は野外採苗の方が良好。であることが分かりました。

販売してみました

 平成16年に収穫したタオヤギソウ72kgを試験的に販売したところ、生出荷でキロ単価600円と想像以上の高値で取引され
買受人からも生産量を増やしてほしいとの要望があり「新養殖種」としての手応えを感じています。

 また、我々を始めとし地元漁業者間において、タオヤギソウを家庭で食べる習慣が復活してきており、
階上地区の民宿においても「地元料理の一品」としてタオヤギソウが「お客様」に提供されるようになり、
地域として、タオヤギソウを食材として再認識する動きが広まってきております。

この事は何より、私たちが普段の漁業活動や食生活で経済性や利便性を優先する余りに失われつつあった「伝統的な食文化」を見つめ直し、
「気仙沼スローフード」都市宣言の目的や重要性を改めて認識することができました。

今後の課題

タオヤギソウの養殖はまだまだ改善が必要です。

今後、適した漁場の選定や効率的な着生基質の模索及び脱落防止を検討し、
当面は30メートルの筏から500キログラムのタオヤギソウを収穫することを目標とし、取り組みたいと思います。

 タオヤギソウの養殖技術が確立された場合には、ワカメ・カキ養殖業者が多い当地区にとって、漁閑期である夏場の貴重な収入源となり、
漁家経営の観点から期待される効果も大きく。今後その期待に応えられるよう調査・研究に取り組む事としています。

 また、タオヤギソウを「きっかけ」として学んだ、地域のかけがえのない財産である「風土」や「食文化」を守り次世代に伝えていくことが、
自然の恵みを利用し生活している私たちに課せられた責務であることを常に認識し、今後の活動に取り組んでいきたいと思います。

タカヤギソウ養殖に取り組んだのは

※気仙沼地区漁業協同組合

、平成15年4月に市内の4漁協が合併してできた県内で最も新しい漁協です。正組合員1,201名、準組合員459名で、な内湾のではワカメ、カキ、コンブ等の養殖業、に面したではアワビ、ウニなどの、さらにでは、びき網、突棒、刺網等の漁船漁業が盛んに営まれています。

※千尋会

昭和27年に階上地区のの発展・向上を目指し、青年研究グループとしては、県下に先がけて「階上千尋会」としてしました。
その後昭和43年に一部機構を改め漁協の傘下に入り、以来50年以上の長い間、時代の要求に応じた各種研究活動を行ってきました。現在は「気仙沼地区漁業協同組合階上本所青年部千尋会」として、14名の会員で階上地域を活動の拠点としています。現在の主な活動は地元の小学生を対象としたワカメ刈り取りの体験学習、増殖のためのコンブ、気仙沼水産試験場で実施しているワカメ養殖試験への協力、放流用アワビの中間育成、の管理を行っています。また、平成15年からは「タオヤギウソウ(オオバフノリ)」の試験養殖に取り組んでいます。